ロチェスターISB 3日目

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ロチェスターISBが本格的に始まりました。1時間単位で講義・ワークショップ・リサイタルなどが目白押しにスケジュールされています。ともかくイーストマン音楽大学付近は全員ベーシストです。夜はベース界のスター達が大ホール(コダックホール)でコンサートをします。プログラム全部を体験することは出来ず、選んで参加するわけです。ロチェスターはコダック社で有名でしたが、写真がフィルムからデジタルになりコダックは落ち込んでしまったそうです。

 

学生寮に滞在していますが、この学生寮も今はベーシストだらけです。知らなくても全員友人です?声をかけあいます。その中で見覚えのある人発見。ブラジルのベーシスト、ファウスト・ボレムさん。19年前のアヴィニオンベースフェスティバルで会いました。フェスの宣伝のためにラジオ・フランスに2人で出たことがありました。なつかしいものです。フードチケットやらバッジやらをもらいに行くと、そこにはなんとフミコ・ウエリントンさんとキヨエ・ウエリントンさんがいるではありませんか・・・

 

フミコさんはハワイベースフェスの中心人物、キヨエさんは娘でベーシスト、もう20歳だそうです。フミコさんは日本人とハワイのハーフでバイオリン奏者、ハワイのお父さんが伝説的なベーシストで、父親の意思を継いでベースフェスをやっているのです。私は2回招待されました。1回目はバール・フィリップスさんと一緒、2回目は井野信義さんと一緒でした。今回もしかしてと思ったのですが、実際に会えると感慨ひとしおでした。キヨエさんのお父さんはオーストリア人で日本の舞踏の研究家です。

 

時差ボケで眠れませんでしたけれど、シャワーで無理矢理シャキッとさせて、朝8時に食堂で朝食。9時からHector Tiradoさん(プエルトリコ)のレクチャー。なんとエクトルさんは聾。後天的な聾なのでしょう、補聴器をつけて会話はできています。演奏の時は外します。これは「風の器」の庄﨑隆志さんと同じです。靴を脱ぎ、床からの振動を感じ、指先や皮膚をリセプターにして音を感じ音楽を作っていきます。ゲイリー・カーに習ったことがよく分かるような奏法や音です。ベートーベンが聾だったことは有名ですが、フォーレもそうだったそうです。「夢の後に」を聴かせてくれました。

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参加者を募り、耳栓をさせ、目をつぶらせて演奏してもらうことでの身体の変化を体験させていました。

いろいろと興味深い意見を聞きましたが、彼の存在そのものや眼差しが強烈でした。静寂の中、落ち着いて何かを真摯に求めているという感じです。私も人ごとではありません。初っぱなから良い時間でした。

 

10時からは黒人のPaul Veaudry さんのBASS SYSTEMという講義。自分がベースと音楽と生活をどうやってシステム化しているかという内容。11時からはブラジルの女性ベーシストSonia Rayさんのリサイタル。ベースアンサンブルが間に合わず、現代音楽のソロやデュオでした。ちょっと期待しすぎだったかな。

 

パール・アレキサンダーさん昨夜到着しこの時点で合流。全員で昼食。1時からベネズエラのベーシストRoberto Kochさんのベネズエラ音楽の講義とデモンストレーション。メレンゲ(5拍子の音楽)をさまざまに解説してくれました。ベネズエラのメレンゲは私のツボなので、大変ためになりました。しかしやはり、彼の存在そのものが一番印象的でした。2時からはタンゴのJuan Pablo Navarroさんのタンゴベースの講義。最近リーダーCDをだしたり、ディエゴ・スキッシさんの楽団のメンバーなので若い世代のタンゴベースの代表格なのでしょう。マーク・ドレッサーさんがこのあたりのコースを仕切っています。

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その後、レクチャーやリサイタルは行かずに、借りる楽器を見に行きました。出店している3つの楽器店から5台を借りました。なんだかんだありましたが、5人揃ってリハーサル。久々に楽器を弾くと気持ちが良いものです。ミュージシャンは人の演奏を聴いているだけでは身体に悪いのです。私の借りた楽器はなんとワキに菱形の穴が開いています。たしか、エリントン楽団のヴィクター・ガスキンさんが同じような楽器を持っていましたね。正札の値段を見てビックリ。大事にしなくては・・・

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7時から楽器コンペティションの発表があり、ずっと一緒にいる鈴木徹さんがトーン部門(音が良い楽器部門)でのシルバーメダルを受賞。素晴らしい!! 誇りに思います。コントラバスを製作している人さえ少ない日本人でこんなに晴れがましい賞を取ったのです。我がグループの田辺・田嶋両氏が彼の楽器をメインで使っているので歓びも膨らんでいきます。ホールを抜け出して祝杯を挙げて、ホールに戻りイーストマン音楽大学出身のロン・カータートリオのコンサートですが、心地よい音に寝込んでしまいました。聴衆全員のスタンディングオベーション。唯一人立つこともできませんでした。ハイ。

 

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