2月28日キッドアイラックアートホール「うたをさがして」
乾千恵さんのエッセイ「7つのピアソラ」(岩波書店)出版記念ツアーをジャン・サスポータス、オリヴィエ・マヌーリ、齋藤徹の千恵の輪トリオでやったことが1つの始まりでした。
大分で千恵さんの書展があったときに、お会いしてオペリータをつくろうか、という話になりました。そして「うたをさがして」トリオができ、CDもでき、ジャンさんとも共演、そこに千恵さんから今回の脚本が送られてきたのです。
そのすべてが合体して来年1月に上演予定です。(ジャン・オリヴィエ・徹・じゅんこ・直毅が総出演)
その第一歩が2月28日のキッドアイラックアートホールでの公演になります。
是非、初回を見届けてください。
千恵さんの文章↓
うたをさがす旅に… 乾 千恵
20年のあいだ温めていた物語が、東日本大震災の一年後に言葉となって大き
く芽吹き、さらに斎藤徹さんの手で曲がつけられ、音楽・歌・ダンスでつづる舞
台へと生まれ変わりました。それが、オペリータ「うたをさがして」です。
魂のぬけがらのようになって、さまよい歩く旅人。自分の家のあった場所に座
り続ける女。たまたま出会った二人は、驚きます。旅人の胸の中でのみ響く鈴の
音が女には聞こえ、女じしんも気づかずに背負っている石の翼が、旅人には見え
るのです。
「鈴の音」と「石の翼」、それは、大切なふるさとや愛するひとたちを突然失っ
た、あまりにも深く大きな悲しみ。その悲しみとともに生きる二人が、出会い、
共鳴することで、回復と再生へ向かう、大きな生命力を秘めた「うた」が、次第
に生まれていきます…。
被災地を思わせる状況が、この物語の背景になっています。
でも、被災された方に限らず、すべての「悲しみを抱えて生きる」ひとたちに、
このオペリータを通してお伝えできたらと思うのです。「心のよみがえりにつな
がる〈共鳴〉は、いつ、どこで起こるかわかりません。だから、とにかく生きつ
づけていきましょう」と。
みんなでうたをさがす旅が、始まろうとしています。