2012年新年、我がTravessiaレーベルは「Solo at ORT」「うたをさがして」をリリースしました。そして2013年もまた2作がリリースに向けて進行中です。
CD「Barre Phillips/Bass Ensemble GEN 311 Live at Space Who」(TRV-011) 工場で制作中
と
DVD「Jean Sasportes/Tetsu Saitoh with Friends May 2012 Tokyo」(仮題)(TRV-012) 編集中
です。
ベースアンサンブル弦311は、昨年のDVD発売(http://www.kadimacollective.com)に続き、10月にバール・フィリップスとのインプロセッションを経験しました。それまでコントラバスの新たな可能性をめざした私の曲を演奏するグループだったのですが、一皮むけた総合的なコントラバスアンサンブルに成りつつあります。そして今年6月にはISB(国際ベーシスト協会)のコンヴェンション(1000人以上のベーシストが世界中から集まるベース界の最大のイヴェント)に招待されました。場所はニューヨーク州ロチェスターです。ISBは完全なNPOなので、旅費の工面が最大の課題。その一助の意味もあってこのバールとのセッションをCDにしました。1500円という安価に押さえてあります。みなさまどーぞ1枚と言わず、5枚でも10枚でもご協力をお願い申し上げる次第でございます。200枚ほど売れると一人分の旅費になるという皮算用です。
バールのコメント
“Meeting and performing with GEN 311 was a pure delight. The group has a wonderful group feeling, one which is very positive. I enjoyed so much the openness of their spirit which was at the same time very disciplined. All of them are excellent bass players and musicians. May we meet again in the near future.”
Barre Phillips – November 2012 –
弦311と出会って共演したのは純粋な歓びでした。このグループはとてもポジティブなすばらしいグループフィーリングを持っています。彼らのスピリットが開かれていることを嬉しく思いました、また同時にとても訓練されているのです。彼らすべてはすぐれたベースプレーヤーであり音楽家です。近いうちにまた会えるように願ってます。バール・フィリップス 2012年11月
私のコメント
ハッピー・ベース・デイ
2012年10月、初来日から24年、バール・フィリップス日本ツアー「Traces in Japan 2012」をオーガナイズした。最後の来日かもしれないので、バールの意向を最大限に実現したツアーだった。「スペースフー」でのバール・フィリップス3デイズでめでたく締めくくることができた。3デイズの中日10月27日はバール・フィリップスと私の誕生日。78歳と57歳をベースの若い仲間とすばらしい聴衆と祝うことが出来たのは私の一生の想い出になった。ヨーロッパへの道を開いてくれたのも、ベースを交換してくれたのも、ベースに対して、インプロに対してのさまざまな経験と知恵をあたえてくれたのも、すべてバール。このツアーは私のバールに対する「ありがとう」ツアーでもあった。
私の楽曲を演奏するグループとして2011年に始まった「ベースアンサンブル弦311」がバール・フィリップスと演奏することは私にとって一つの賭けであった。しかしそれは杞憂に終わる。私が、(彼らを)「信じ」「聴き」「待つ」ことができさえすれば成り立つものだったのだ。それは即興演奏の精神にも通じ、さらには日常生活でも通じることだ。即興か曲か、というような次元の話では無く、心を開き、身体を開き、目を耳を開くこと、ポジティブに生きることのレッスンだった。メンバーにも沁み渡ったはずだ。もう一度言おう「ありがとう、バールさん!」 齋藤徹