牡丹と馬@ポレポレ坐 終了

牡丹と馬@ポレポレ坐 終了しました。

 

朝8:30に着くと、もう庄﨑さん・南雲さん・安元さん・○○さん(名古屋の大学で聴覚障害者の教師養成をしていて、庄﨑さんとはもう25年のつき合いと言うこと。お名前を伺わず、失礼しています。)はドアの前で待っていました。

 

 

 

昨夜舞台設定および客席配置をほぼ済ませていて、ポレポレ坐が劇場に変容しています。空気をそのまま残しているので作業はスムーズに持続していきます。それぞれのチェックを済ませ、10:30より通し。セーブしてやりましょう、と言いながら結局本気でやってしまうことは想定内です。はい。私は即興的なことをいろいろ試しました。それに対して庄﨑さんも南雲さんもよろこんで反応してくれます。ともかく彼らとの作業は、常に暖かな空気に包まれています。こういう表現の場でありがちな自己主張ゆえの殺伐としたことは起こりません。そんな甘ったれたことはとうに越えています。ありきたりな「成功」、平均点的な公演などは眼中にありません。客席に「受けよう」などとはつゆほど思っていません。演者と聴衆のとんでもない発見と飛翔を真剣に求めています。正にイノチガケです。

 

 

 

8月の初演の前、庄﨑さんは馬を観察するために宮崎の都井岬に出向き一週間観察してきています。たった1日の公演のためにあらゆる努力をしてきています。聞けば、はげしい稽古の半年で10㎏自然に減量したそうです。私はそういう作業を長い間忘れてしまっているなと気づかせてくれます。自分の仕事以外はほとんどやっていませんが、時間に余裕のある生活とは言えません。あっちに行ったりこっちに行ったりしては忙しぶっているのかもしれません。若い頃は一つの仕事に今の何倍ものエネルギーや時間を投入していた気がします。「なんのためにこの仕事をしているのか?」即ち「何のために生きているのか?」

 

 

 

夏のヴィデオを観て、嬉しくて演奏しすぎていた自分を反省し、今回は、しばし音を止めたり、当然盛り上がりそうなところで盛り上がらないようにしたり、「なぞり」や「説明」になりそうな所をできるだけ排除してみました。彼らの耳になることを目指しました。

 

 

 

エヴリン・グレーニー(聞こえない打楽器奏者)のブラジルサンバカーニバルのドキュメント「エヴリンインリオ」、「タッチ・ザ・サウンド」、フランスのドキュメント「音のない世界で」聴覚障害を得た人気DJの実話「フランキーワイルドのすばらしい世界」なども見直しました。エッチオ・バッソというイタリアのコントラバス奏者が音楽を担当している「ミルコの光」も見直し。これは視覚障害を持った子供が著名な映画の効果音技師になる実話。エッチオが音楽を担当している「ぼくは怖くない」も秀作です。彼のピアソラ作品集ではピアノにグスタボ・ベイテルマンを起用し、ピアソラパリ時代の曲を集めているので大変好感を持ちました。(ピアソラ作品集を出しているコントラバス奏者は私と彼だけ?かもしれません。)ボッテシーニ曲集ではさすがに同国人の共鳴を感じる好演です。おっと、話が逸れました。

 

 

 

数年前、オークランドのミルスカレッジの即興コースで授業をしたとき、担当教授がフレッド・フリスさんでした。彼は身内に聴覚障害の人がいるので、興味を持ってエヴリンと関係ができて、タッチザサウンドで即興セッションをしたんだ、と言っていました。前知識無く、あの映画の即興シーンを観て、エヴリンが聴覚障害だと気づく人はいないでしょう。今回の公演も同じことが言えるのでは無いでしょうか?

 

 

 

今回、終演後拍手が多かったです。前回は実際の拍手ではなく、手話の拍手でした。その分、ポレポレならではのお客様も多かったのかも知れません。次回は、ジャン・サスポータスと庄﨑・南雲とのセッションになります。ジャンさんも大変心待ちにしています。多くを望まず、焦らず、良い出会いにしたいとおもいますので、ゆっくりやります。ポレポレ(スワヒリ語でゆっくりという意味)。2月24日ポレポレ坐 徹の部屋vol.24。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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