旅には思わぬ出会いがあります。
スタッフ、出演者用のまかないランチを取っていると初老の芸術家然とした人が私とジャンのテーブルへやってきました。チリ人の美術家でエルベ川のほとりにフェスティバル用のインスタレーションをしているということ。はじめは、ジャンとスペイン語、フランス語で話すことを楽しんでいました。
ジャンとわたしが数年前に「グラシアス ア ラ ヴィダ」というヴィオレータパラさんの曲の題名を使った作品を上演した、という話で火がついたように話し始めました。実は9-11サンチャゴでのアジェンデ政権に対するピノチェットのクーデターで、東独に亡命したのです。その頃はダンスをやっていて、先生はヴィクトルハラさんの奥さんになったんです。
クーデター後、いろいろな場所に散らばったダンサー達がそれぞれの場所で様々な交流をしていること、ドイツエッセンで長い交流の歴史があること、ピナさんのご主人はチリの大学教授だったことなどなどとめどなく話が続きました。
こういうこともあるので旅は楽しいし、ある意味、必要なのかもしれません。長時間フライト用に映画「イル ポスチィーノ」(パブロ ネルーダのイタリア亡命時代を題材にした)を持ってきたので帰りにはぜひ観なきゃ。