ワールドミュージックの館「詩人ヴィニシウス ブラジルの歌」
ヴィニシウス・ジ・モラエスの詩人としての偉大さがきわだった会でした。高場さんが朗読した「我が祖国よ」、今日の日本を言い当てたような「広島のバラ」(これはまさにポレポレ的でしたね。)アフロ・ボッサの中の「オサーニャの歌」の詩のすばらしさ、「みんなが、あなたと同じだったら」の願い、どれも「これしかない」という言葉が「これしかない」音楽に乗って言葉が羽ばたいていました。なんと豊かな!!
それとともにブラジルとアルゼンチンの差をいろいろな意味で感じることができました。飛行機で3時間のリオとブエノス。もちろん言語が違いますが、音楽がまったく違います。直毅さんにとってタンゴは特別な音楽で血肉化しているのでしょう。万里恵さんはラテン系の音楽全般を歌いますがブラジル音楽だけを、それもヴィニシウスの詩につけた音楽だけをやるのはさぞや大変だったでしょう。
ブラジルとアルゼンチンにはさまれたウルグアイに注目してきました。タンゴの代名詞「ラ・クンパルシータ」はウルグアイの医学生が作ったことで有名です。また、千恵の輪トリオのオリヴィエ・マヌーリが得意としているカンドンベはアフリカ色のつよいタンゴの形式の1つです。ヤヒロトモヒロさんがよく共演しているウーゴ・ファットルーソさんはウルグアイ人でミルトン・ナシメントの録音のまとめ役もしています。
かつては自国の政治状況のためもあり、ソーサもユパンキもパリ暮らし。ブラジル亡命組もヨーロッパでした。ジルベルトジル、カエターノがロンドン、シコ、トッキーニョがローマ、ミルトンはブラジルに残ったというのも象徴的です。
さて、交通が飛躍的に簡単になり、ネットが距離を軽々超えて、さらにグローバリゼーションが世界の隅々まで行き渡ってしまった現代、どうなっているのでしょうか。面白いコンサートを発見しました。ブラジル、アルゼンチンの代表的な女性歌手二人、モニカ・サウマーゾとリリアナ・エレーロさんがウルグアイで同じ舞台で演奏していました。http://www.youtube.com/watch?v=YyYX_ZlZg0k
私は長年この二人を注目してきたのでとりわけ興味深く観ました。やっぱり違いますね。そしてそれは良いことです。Enjoy the difference.