少しは休めるわけなので、早々に美術館をあとにして習志野宅へ移動。2時間休憩後、5時前にキャンディに移動。思えば昨年4月1日(震災3週間後)に開店35周年記念ライブで今井和雄さんと演奏したのが最初でした。なんだかんだで近所へ引っ越してきたので、地元活性化ということでミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン、高岡大祐さんと演奏、うたをさがしてトリオで演奏、今年になってから「徹を聴く、徹と聴く」シリーズを始め、さらに本日より「Live & Talk 」シリーズを開始しました。東京へ行かずとも、逆に東京の人に聴きに来てもらうよう独自企画を進めています。こころよく受け入れてくれるキャンディ林さまのお陰さまです。ありがとうございます。
さて、昼の作曲作品とはうって変わって晩はインプロです。しかも二人だけはここだけ。普段ジャンは演奏が始まると、 インプロであろうが、作曲であろうが、じっと聴いていて、ふと踊り出す時の鮮やかなことが特徴です。本当にドキッとします。今夜は昼からエンジンがかかっているからでしょうか、様子が違っていました。最低音の開放弦でさまざまな倍音・色彩をだしたり引っ込めたりしていると、ものの2分くらいで踊り出しました。あとは一気に45分。ジャンの踊りは、しばしば「祈り」を想起させることがあります。今夜もそうでした。彼が弓をもって首筋から胸に当てた時は、バッハ無伴奏チェロ2番のプレリュードをピッチカートで弾き始めていました。
このツアーではジャンが楽器に絡んでくることが多くあり、この日は特に多かったです。スペースのこともあるのでしょう。狭ければ狭いほど絡んでくる傾向にあるようです。抱えたり、寝そべってお腹の上に置いたり。十字架を運んでいるようにも見えました。それに応じてこちらも音をだすのですから、いろいろな発見がありました。
演奏前にお客様にアンケートと一緒に付箋を渡してあり、ジャンに聞きたいことを書いてもらいました。それを参考にトーク開始。日本の音楽ライターは私関係の人脈には興味が無いのでしょうか、インタビューはミッシェル1回、ジャンにはメールインタビュー1件でした。(両方とも同じインタビュアー)私の出すCDがほとんどライターにスルーされているのも残念ながら事実です。(「うたをさがして ライブ@ポレポレ坐」の感想をいただいたのはバール・フィリップスと泉さんだけです。しかし大変気に入ってくださっていますので、千人力というところ。)
そんなこともあり、言葉でももっと伝えたい、シェアしたいと思っての企画です。日頃、接しているとミュージシャンにしろダンサーにしろ、本当におもしろい話がたくさんあります。それを聴衆とも共有したい、質疑応答もしたい、しかも本人の声で、という贅沢な企画でもあります。地元ならではの気楽な感じも必要ですし。
ジャンがいかに音楽好きであるか、とか、ダンスでの経験が豊かであるか、本を大量に読み、日本について、武道について、ピナについて、大野一雄について何を考えているのか、などなどを引き出したいと思っていましたが、本人が語ることでその魅力的な人柄とともにあっと言う間に何かあたたかな感覚が伝わっていきました。聴衆からの質問ペーパーも興味あることばかりでした。カルロス・カスタネダという私が学生の頃、熱中して読んだ本の話が出たりして、私個人としても楽しめました。大野一雄さんを思い出したというコメントは今回の滞在中何回も受けました。私が思うに、ピナにも似た表情も時々します。本人は否定していますが。
次回はバール・フィリップスの予定です。大物が続きますね。(今回分、文字起こしもしたいです・・)
近所の魚居酒屋で打ち上げ、お客様も、撮影スタッフも残り楽しいひとときでした。