都美術館「浸水の森」

27日、ライブ最終日しかも昼夜2回移動付。遅刻をしてはシャレにならないということで、明け方から何回も目を覚ましましたが、良い天気に後押しされて、いざ上野都美術館へ。予定通り到着。小林裕児さん、上村なおかさん、瀬尾高志さん全員すでに到着。高志はすべて暗譜しているということ。こういう必要以上の気持ちが先に繋がるのでしょう。必要最低限で済ますとそこで終わってしまいます。
こういうイヴェントは当美術館では初めてのことだそうで、担当スタッフはとても友好的にイヴェントの成功へ向けててきぱきと仕事をしています。小林さんはこういうパフォーマンスこそ美術館でやるべきということで何年もオファーしましたが、すべてNG。やっと今回実現になったとのことです。
と言っても偶然に成り立ったわけではなく、小林さんのパフォーマンスに何回もキュレーターが足を運んだりしていたとのこと。今回は、小林さんのトークの時間をパフォーマンスにしてみたらどうか、という提案から成立したそうです。多くの人の願いと事務でなりたったことです、公立ならではの煩瑣な書類も喜んでやらせて頂きます。ハイ。
会議室で高志と合わせます。頭は起きているのですが、瞼が閉じてしまってなかなか開きません。回りの失笑を買いながらも準備します。個展ではなく、たくさんの作品の中でやるので開演5分前に現場へ移動開始、着くなり始め、終わったらすぐに移動すべし、ということ。了解。
懐かしの「浸水の森」が展示してあります。観客も多くいらっしゃっていて、明るい美術館の中、白昼のパフォーマンス。暗い舞台で照明を効果的に使っておこなうものとはまったく違います。その分、日常との切れ目が無いので、演ずる方もある種の覚悟が要ります。環境と遮断せずに目を開きつつ、いちはやく物語に入り込む必要があります。
今回は、この作品を元にした委嘱作曲があるので、その中から選曲しました。ジャンさんとなおかさんは絵の中の二人の男女の役を与えられています。もちろん展開は自由です。演奏は快調にテーマ、夜と進みます。音楽の変化に対する反応、対応が人一倍優れている高志は、譜面を見ていないのでなおさら自由です。(ジャンさんファンのお母様も札幌から客席にいらっしゃいます。)
このあたりで動き出すかな、と思ってもダンスの二人は微動だにせず。なるほど、良いでしょう。音もダンスを強く促したり、急に引いたりして駆け引きを楽しみました。簡単に踊らず、身体の中で踊っている時間が続きます。これでどーだ、とばかりにベネズエラのメレンゲ(5拍子)を使った曲を弾き出すと、なおかさんがたまらずダンス・ダンス・ダンス。
40分で、という規定があったので、(規定があると人一倍気にしてしまう性格です。そういう育てられ方だったのでしょう。)良いんだか、悪いんだか、40分ちょうどで演奏は終了しました。
しかしダンスは終わりません。メレンゲからハバネラは移行すると、音楽はますますダンサブルになります。ここで終わるのはムリ。しばしの沈黙のあとハバネラを再び弾き出しました。「ここで終われるわけ無いでしょ?」というダンサー二人の目線に会場からも笑いが起こり、無事に終了できました。
言われたとおりに私はすぐに退席。他の人達は普通に観客との対話を楽しんでいたようで、なかなか帰ってきません。何と損な性格でしょう。

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