WIOと幼稚園

社会を映すWIOと幼稚園
WIO(ヴッパタール・インプロヴァイザー・オーケストラ)の定期が旧市庁舎で行われました。一昨年も参加、今年も参加しました。東京でも3/10にMIYAさん・岡本希輔さんが中心になってTIOの初演奏があり、成功したという報告を受けました。ロンドン・ベルリン・ヴッパタールの他にもスペインで複数、ウイーン、カナダなどでインプロヴァイザー・オーケストラが活動中だそうです。ブッチ・モリスさんはずいぶん前からこの試みをしていました。
個人による即興演奏の可能性と限界を同時にひしひしと感じている人達によって行われ、指揮者がイマジネーション豊かで指揮法も熟達していると大変面白いと思います。オーケストラのような大編成では、大勢の中に隠れる安心感がつきまといます。それを充分に注意することが必要でしょう。また、約束ごとが破綻したときに、大きなチャンスがうまれる可能性が高いという点も否めません。
今回の定期では、私が二週間前にゲントで共演したジグリット・タンヘさんがフィーチャーされました。ゲントとは違い、旧市庁舎の大きな空間の真っ白な壁を使ってのびのび描いていました。
ジグリットさんはWIOの代表格のグンダさんと綿密な打ち合わせをして臨んでいます。リハーサルでは、いくつもの試みをして、1:指揮者無し(色によって木管・弦・打楽器・電気楽器・声を大ざっぱに決める)2:指揮者を配し、音先行・絵先行でいくつもの小品をつくる 3:指揮者を配し、いつものオーケストラ(この場合、いちばん慣れたグンダさんが指揮)を本番でしました。
20名のオーケストラはさながら社会の縮図でした。急にソロを始めてしまう人、絵に見入って指揮をわすれてしまう瞬間、それをあまり活かせなかったことは残念でしたが、考えるべき事を多くいただきました。
翌日朝から王子の通う幼稚園でジャンさんと演奏。こういう場合、事前に決めることは無駄ですので、現場での子供達の動向に従うしか有りません。ともかく20名の園児達のすさまじいエネルギーに従うのです。音楽やダンスの「フツー」のありかたと、そうでないありかたをだいたい交互に配して子供達と一緒に遊びました。いろいろな国籍、言語、民族の園児がいます。ここでは「子供は親を写す鏡」であることを今さら乍らに感じました。イライラしている子供、なんでも否定する子供、力でおしのける子供、いつもおだやかですが、それ故にいじめられがちな子供、すべて親が見えるようでした。王子も日頃わたしとレッスンしたことを堂々と披露。明日から園児社会での地位が変わることでしょう。
終わってから、楽器に興味を持った子供が何人か集まったので、弾いてもらいました。こうした経験が将来、どう繋がっていくか誰もわかりません。(私が幼稚園の体験で覚えているのは怪傑ハリマオがやってきたことでした。それは私の人生にどう影響したかわかりませんが、ハリマオのことは良く覚えていて最近調べ直したりしました。)

幼稚園を後にして4度目のケルンの楽器店。レンタルベースを交換しなければならないのです。今回のツアー中、これで8台目。大きめのドイツもの。前回よりかなり質が落ちます。なかなか辛いものがありますが、これで良い音をだすことも大きな喜びになるでしょう、と前向きに。

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