ヨーロッパ9

カフェ・アダでの「Looking for KENJI」のリハーサルが連日,同会場で行われました。合気道や気の道で使う「丈」を2本ずつもって賢治の原体剣舞連をやるシーンのリハがとても大変です。丈を床に打ち付けたり2本を打ち合わせたり、転がしたり、かけ声を出したり、いろいろなワザを使います。台湾出身のチュンセンさんは振付家・ダンサーの他に太極拳をマスターしているので、丈の使い方も一番慣れています。時々西遊記のような振りをしたりしてみんなを笑わせます。
丈は合気道で使っていることから、日本の警察でも採用されているものです。日本でジャンさんと岩田商会に買いに行ったとき、帰りがけに「ちゃんと包んで持って帰らないと行けませんよ。武器と見なされるのです。」と言われてビックリしたことがあります。合気道創始者・植芝盛平さんと出口王仁三郎さん、日本軍との話も思い出されます。
5人のダンサーのソロとトゥッティを交互に進め、2回続けます。最初と中間でのリズムパターンを考えて欲しいというので、4小節のパターンを作りました。賢治の詩での、dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dahと書かれた部分を参考にしました。そのレッスンを始めますが、シンコペーションの部分、休符の部分がなかなかうまく行きません。単純で印象的な4小節を作るのは難しいことです。かといって、1回提示したものを変更するのもムズカシイ~。ダンサーは「8」でリズムを取ることに慣れていて、8が何回という計り方をしています。

冒頭のシーンは「星」あるいは「蛍」ということ。暗転の中、手に小さなLEDランプを持った4人のダンサーがそれを持って踊ります。決まっている振付なのですが、音にちゃんと反応しています。音に敏感なダンサー達なので嬉しいです。振付と即興の関係は、作曲と即興の関係と似た部分があるのでしょう。大事なのは即興であるか振付かではなく、その場でしかありえない演技であり演奏なのです。そこが聴衆にアピールします。いや、その前に演技者自身に、そして共演者にアピールし、その場が高揚していくのです。

音楽は、「糸」と「西覚寺」を使い、即興を取り入れました。「糸」の部分では直毅さんが上手にいて演奏。演奏したまま歩いて下手の定位置に移動します。糸電話のような微かなコミュニケーションからダンサブルなリズムをだします。定型リズムの「1」のところがダンスにも音楽にも一番大事と思っています。その「1」の使い方が上手なのがピナ・バウシュさんです。普通「1」と思われるところでないところを「1」にして緊張感を生み出します。ありきたりのリズムでも「1」の使い方でドキドキするダンスが生まれます。ここではそれを試したいと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です