ソロCD 10日に入荷です。

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この録音は私的なもので、発表するつもりは特にありませんでした。単に、ペーター・コヴァルトのスペースでペーター・コヴァルトのベースを弾いた記録です。このスペースORTを自由に使えたので、持って行った小さな録音器SONY/PCM-50で録りました。
マイクも内蔵のものだし、セッティングも特に工夫したわけではありません。マスタリングのaketaの島田さんが、左右のバランスを調整して、音も整えてくれこの形になったのです。ヨーロッパの空気のなか、ペーターの楽器は、彼のメイン楽器ではなく、おそらく3番目・4番目の楽器だと思いますが、とても良く鳴っていました。「あの楽器がこんなに鳴るの?」と現地でORTやこの楽器のことをよく知っている人が、何人も言っていました。ちょっと前まで、大きな亀裂が入っていて誰も使っていなかったとのこと。
そういう事情は関係ありません。ともかく「身を任せて」弾きました。自分自身が第一の聴衆です。そして楽器・場所が第二第三の聴衆。普通の聴衆がいないときにどうなるか、あとで興味が出てきて、聴いてみました。このレジデンスのアリバイとして、またORTへのドネーションとしてCD化を思いついたのです。
CDインレイカードには、最低限の解説しか書いていませんので、ちょっと詳しく書いてみます。
1曲目:普通、弦に指を触れるくらいにしてハーモニックスを出しますが、ちゃんと弦を押さえて、微妙なビブラートを加えると高次ハーモニックスがでることを2年くらい前に発見しました。ちょうどホーミーのような感じです。仮にホーミーハーモニックスと名づけます。実音とホーミーハーモニックスを即興的に組み合わせるととても刺激的です。その奏法を中心に試みています。
2曲目:私の考案した変則チューニングでの演奏です。もう10数年やっています。これを見つけたときのことは今でも鮮明に覚えています。奈良の室生寺付近でした。ソロで関西を中心に頻繁にツアーをしていて、音楽ファンでない聴衆の率がとても多いツアーでした。そんな状況だからでしょうか、すこしでも聴きやすくしようと、伴奏とメロディーを一緒に弾くことをさまざま試みていました。演奏直前の楽屋代わりの部屋で発見。この発見からさまざまな曲・方法・考え方が生まれ発展していきました。
3曲目:E線のみの演奏です。私の使用しているE線(GAMUT社・tetsu version)は超極太です。(今、一般的に使われているコントラバス弦の一番太い弦が、私の使っている一番細い弦とおなじ径なのです。)太い・長いということは、雑味のあるハーモニックスを出すことが出来ます。しかも糸巻きをゆるめてどんどん低い音を出しています。この試みはかつて「audio basic」での井野信義さんとのデュオCDで試みたのですが、さらに徹底してやりました。私にとってのベースはつくづく倍音と雑音ですね。
4曲目:コントラバスの打楽器化は私の最初期からの試みです。かつてブラジルのビリンバウを知って、とても心動かされ、その奏法やリズムをコントラバスでやっていました。その後、韓国の箏をしりアジェンは弓で弾き、コムンゴは木の棒で叩いて演奏するのを見て更に感じ入り、その後、トランシルバニアのガルドン(ガードンと読むのかもしれません)という楽器の演奏を聴いてさらに自分の身体にある音と一致するようでした。モロッコのグナワ音楽をしり、ゲンブリという楽器の演奏を聴いて、ますますこの傾向への確信を得ました。ジャン・サスポータスさんがモロッコ生まれで18歳まで育ったと言うこともあり、演奏しました。いつか一緒に訪ねてみるつもりです。
5曲目:韓国の音楽のビブラートは普通のビブラートの範疇を超えて大きく揺れます。そこに惹かれました。この演奏は、左手で棒をもち、指の代わりに棒で音程を出し、ゆらしました。ギターで言うボトルネック奏法に近いかもしれません。
6曲目:3曲目と打って変わって超高音を意識した演奏です。これは左手にスティックを持って駒の近くで弦を横に押さえます。
7曲目:ちょっと4ビートです。私にしては、めずらしい?
8曲目:私がこの数年やり続けているベースの横置き奏法での演奏です。安定していない楽器をカタカタと揺らし、江戸時代の女性用あんま笛を吹き、弓を2本もって駒の右と左を弾きます。このことは何回も書きましたが、普通のテクニックを使えない方法として開発しました。ちょっとシャーマニックな演奏かもしれません。
聴かれることを意識しないで録音したためか、全体を通して、逆に聴きやすいものになっているのではないかと思います。(そんなのしらねーよ、なあ。)
リリース記念・ソロがあります。
http://za.polepoletimes.jp/news/2011/11/2012216vol18-tetsu-saitoh-contrabass-solo-at-ort.html

徹の部屋Vol.18 
「Tetsu Saitoh Contrabass solo at ORT」リリース記念ソロライブ

■日時:2012年2月16日(木)18:30 open/19:30 start
■出演:齋藤徹(コントラバス)  
■料金:予約2,500円/当日3,000円(+要ワンオーダー)*お食事のメニューもございます。
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)Email : event@polepoletimes.jp

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