初日、200名を越える予想の四倍以上の聴衆で、ごった返し状態。人があふれ、空いている空間がない!演奏する場所の1メートル以内に人垣。これはさすがに初めて。ともかく落ち着いて職務を全うすべく気持ちを強く保つしかありません。レンタルした楽器の安全にも責任があります。
ちなみにこのレンタルベースは、Benedicto Lang。私はこれまで7台の楽器を所有してきましたが、これは2台目と同じメーカーなので、妙に懐かしかったです。学校を出るちょっと前、アルバイトでジャズを弾いて卒論用の書籍を買っていたこと、修理に出したら失敗修理で、手放したことなどを思い出しました。
いつものように持参したガット弦に張り替えて演奏。レンタル店はHill String。「芸術の殿堂」のすぐ近くにあります。コントラバス製作をしている店主はとても温和で良い感じの職人顔をしています。かれはLionヘッドのコントラバスを作っています。ちょっと原始人にも似ています。そういえば弦楽器の高崎で見たことがあったものと一緒かもしれません。次回機会があったらこの楽器をレンタルしてみたいです。
ともかくshow must go on。音響も照明も予期せぬ事態にうまくついていけないようですが、進行は止められません。アップアップですが、ともかく終了。缶ビールを買って、宿舎に戻りました。
翌日は土曜日なので更なる人出になるのでは、と危惧しました。というか、覚悟しましたが、150名くらいでちょうど良い感じ、演奏も一応納得できるレベルに達した感じになりました。
しかし、舞台は予期せぬ大事件がおこりました。ドイツ人ダンサー・ハンナが檻の中で全身に薔薇の花をつけてセクシーに踊るシーンで、後ろのインスタレーションが発火。2~3秒後には、スタッフが彼女を檻から救出。消化器で消し止めました。約1分後、ハンナは何事も無かったかのように檻の前に戻り踊り続けました。
何が起こるかわからない趣向を満載した舞台なので、この火事騒ぎさえも、演出だと思っていた人もいたようです。すくなくともほとんどの人はこれが演出か事故か計りかねていたようです。このシーンの次が私の出番でしたが、何事も無かったかのように演奏を続け、聴衆の集中をキープしました。
突発事態で聴衆との一体感は、異常に高まります。こういう熱い感じはたしかに20年前の東京にもあったな、と思い出します。日常で、もてあましがちな感情を多くの人と共有し、それを楽しみ、いつか来るはずのカタルシスへ向かう感じです。
ヴィデオのシーンでは、この寒いなか、蝶々か蛾かわかりませんが15㎝くらいの蝶が悠然とスクリーンの前を羽ばたくのです。そのヴィデオは羽の生えた女性が飛翔の練習をくり返し、最後に飛び立つところで止まるので、これも演出のようでした。ありえないから奇跡なのでしょう。
ユン教授の髪を剃り上げるのも無事に完了、きれいに剃り上げました。最後にホームレス二人が乱入し、(一週間前から生肉をベッタリ貼り付けもの凄い腐臭を漂わせています。)スタッフに追い出されるのですが、今日は、迫真の演技にもかかわらず、これが演出であることを大半の聴衆が感じ取ったようです。これは予期せぬ成功だったのでは無いかと思います。
打ち上げはウズベキスタン料理店。姜信子さんの本を読んでいたので朝鮮民族のウズベキスタン棄民の話を思い出すしかありません。店主は韓国顔ですが、店員は眼が青い西洋顔。いろいろな歴史があるのでしょうが話をする時間はありませんでした。「天然の美」を頭の中で鳴らしつつ黒ビールとラム料理をいただきました。出演者・スタッフが全員揃っての打ち上げは和気あいあいと進みました。盛り上げ上手です。気になっていた謎の西洋人とも話ができました。翌日帰国のため、早い内に宿舎へ帰りましたが、きっと随分長くもりあがったに違いありません。みんなの歌をききたかったな~。
かくして、年末年始の韓国公演が終わりました。言ってみれば緊急事態の彼の地、無事に終えることができてホッとしています。いろいろと考えることがあります。次につなげましょう。
このYahoo!ブログで写真をアップできない状態です。いつか、写真もアップ出来ればと思います。