神戸公演スナップ
酒心館周辺は阪神淡路大震災で壊滅したエリアです。思えば、久田舜一郎さんと会ったのは神戸ジーベックホールでの地震チャリティでした。後ろに、バール・フィリップス、吉澤元治、私、もう一人の外国人ベーシストがならび、前に久田さんと能管の方での即興演奏でした。東日本大震災の今年、またここで久田さんと演奏する因縁を思っています。
久田さんとダンスの角さんが曼荼羅ユニットというものを組んでいて、その一環でのコンサートでした。まず、私たちを迎えるという意味でお二人の演奏とダンスで「払い」。その後、久田さんとニンさんで3回目の「翁」。この日はじめてニンさんは、定型のリズムを小鼓に絡ませました。ニンさんのことですから、フツーに合わせたりはしません。ポリリズムのような、ヘテロフォニーのように響き合っていました。
次に、私とミッシェルと辛恩珠さんの演奏。辛さんは、今年久々にソウルで共演した南貞鎬さんの生徒さんだったそうで、今は釜山の大学で演劇のコースを受け持っているとのこと。私が何種類かの長短(チャンダン、韓国伝統のリズム)を差し挟むとググッと反応してきます。僧舞(スンム)のような所作もあります。身体の動きが先行してココロが後からついていく、というダンスで、ミッシェルとともに大変楽しめました。
その後、トリオの演奏で休憩。二部は、全員が参加の即興。ケイオスになることなく、進行していきます。ニンさんも積極的に動き、床を使った音を奏でます。最終局面でニンさんが石を辛さんの前にいくつか置きます。謎かけのような、石蹴りのような場面でした。辛さんは、ずっとつま先立ちをつづけ暗転で「締め」。
その後、角さん宅スタジオで打ち上げ。ここでなんと久田さんの「ラ・マルセイエーズ」の謡いがあり大爆笑のうち、めでたく終了しました。