満月のこのころ、自分を押さえつけておかないと、あっちこっちへフワッと飛んで行って戻ってこられそうにない、という毎日です。自分の容量を超えているのでしょう。
ジャンさん「いずるば」ワークショップの手伝い2週目も終わり、翌日、アンニャさんのパンケーキパーティに行く。東工大インターナショナルハウスでロジャー・パルバースさんも来ている。
ロジャーさんは前に書いたとおりの希有な人生を送ってきている。(現在NHK教育テレビの月曜深夜の英語番組に出演中。)日本とのつき合いは40年になり、心からの友人・井上ひさしさんの死の直後。その話も当然出てくる。自らのルーツを探し求めポーランドに行った話から、タデウシュ・カントールの話になる。やはり、カントールと親交があったそうで、オーストラリア放送では長時間のインタビュー番組を制作したこともあったとのこと。
カントールは私にとっては最も尊敬する表現者の1人。(最近、アメリカで4本のDVD出ました。)ポーランドにおけるユダヤ人と言えば、その人生は想像に難くない。ワルシャワでかつてコラボレーションしたアバカノヴィッチさんもその1人。
ジャンもユダヤ人なので、会話中もユダヤ人の繋がりというのを身近に垣間見たきがする。日本で普通に暮らしているとなかなかわからない感覚だ。たくさんの興味深い話をした。宮沢賢治ものを来年ジャンを交えてロジャーさんの演出でやろうという計画も飛び出し、大いに楽しみでもある。ロジャーさんは賢治さんを20世紀最大の日本文学者と評価している。なるほど。
CD「ORBIT ZERO」がドサッと到着。美しいジャケットにほれぼこの絵「波動」は大成瓢吉さんの代表作という評もある。何回見ても発見がある。
時間が取れずに、宣伝も報告もできていない。ライブに持って行って販売するのがせいぜいです。ヨーロッパに行っている間は、娘が郵送などをすることになっていますので、是非、お手元に1枚どうぞ!
こういう即興演奏を、ライブのまま、何も手を加えずに世に出す。果たして商品なのか、作品なのか、という問いには答えはない。売れれば商品になり、売れなければ作品か・・・・
待望の「羊の歌」第一章@キッドアイラックアートホール
身体も頭も疲れているけれど、ここで音を出すとそれだけで疲労感は無くなる。演奏家なんてそういうもの?ジェーン・リグラーさんは5/1には帰国。彼女の音を紹介できたことはとても嬉しい。加藤周一さんの「羊の歌」「続羊の歌」を再読。同じ名前で恥じぬように内容を高めて持続していきたい気持ちです。
ビッグネームの芸術家、音楽家を日本に招聘するのも、もちろん相当の価値のあることでしょうが、ジェーンさん、ジャンさん、イサベルさんなど身銭を切ってでも日本に来ている人たちの音・話・演技・作品にはもっともっと耳を傾け、目を凝らして良いはず。評論家、プロデューサーはどこにいるの?
5日に共演するザイ・クーニンもかなり前から身銭で来ていた。一時は暮らしていた。福岡アジア美術館オープニング、岡本太郎美術館、関西ツアー、CD「Pagan Hymn」などでずいぶん共演してきた。しかし、昨年、すこしメジャーっぽいところでやったら、「日本デビュー」だってさ!あんぐり。
女優・内田慈さんとバイオリン・喜多直毅さんとの「場末の」オペレッタ風パフォーマンスの準備も進んでいる。6曲新たに作曲し、昔書いた2曲をアレンジしなおし、歌詞をはめての試み。初めてのことだらけで、勉強になります。ホント。(一般公開はありません。)
好きな条件で好きなように作曲・演奏することは、ありがたいに決まっているけれど、それでは自分のイメージの中から出ることは出来ない。知らない自分に出会うためには、勇気を持って自分の領域から出ていくことが必要だ。そのために人に会い、場所に会う。