「春と修羅」で知ったのですが、宮沢賢治の作ではなく、北原白秋・中山晋平の「カルメン」挿入歌「恋の鳥」だそうです。松井須磨子が歌い、あろうことかカルメン上演中に抱月の後追い心中を遂げたという曰く付きのはやり歌。
泯さんとの初デュオ「白鳥へ」の印象はまさにこの歌でした。ことり、ではなく巨大な白鳥だったけれど。
私はじぶんの領域から出入りを繰り返し、白鳥を追いましたが、追いかけると飛んでいき、引き返すとすぐ後ろにいます。なんとなく予感はしていました。しかし実際やってみないといけない、という気持ちもありました。そうして一つのステップを踏み出したということでしょうか。just accept、と言い聞かせつつも、やりたいことにこだわってしまいました。分かっています。
金石出、安淑善、プグリエーセ、高橋悠治、富樫雅彦、久田舜一郎、沢井一恵などの巨人と共演するときに共通して感じることがあり、泯さんもその列に連なります。私には、人生への授業料が足りない。どうしようもない事実。
未納分返済には、くりかえしくりかえしくりかえし、とらよとする阿呆を演じつづけるしかない。