低く垂れ込めた

ミッシェル・ドネダに誕生祝いのメールをしたところ、ソフィアから返信あり。覚えていてくれてありがとう、実は「スコーピオン」という名のホテルに泊まっているんだよ、と書いてきた後、彼の地の荒廃はすさまじく世界から完全にうち捨てられたところのようだ、という。マフィアと腐敗だらけ。外国にも行けない。ミッシェルはこのままウクライナに行くという。ウクライナからは私にも招待状が来ていたが、渡航費が出ずに諦めたという経緯がある。

ウクライナ、チェチェン、グルジア・・・ロシアの強硬政策で翻弄されているところ。行って見たかった。「事業仕分け」で日本の文化関係の予算は大胆にカットされるようだ。私たちの活動状況はますます厳しくなる。

思えば、カントールにしてもカネフスキーにしてもギリギリの予算の中でああいう優れた作品を残した。(想像だが、セバスチャン・サルガドは優秀なスタッフと潤沢な予算に恵まれ、カメラもフィルムも思う存分使えている気がする。)8年間ソ連によって投獄され、予告編を作る余分のフィルムも無く作ったカネフスキー作品のすさまじい説得力を思う。土方巽のある公演では、幕間に客席からお金を集め、次の幕を開けたという伝説。

貧乏が「負け」「恥ずかしいこと」になってしまったこの国。「商品」と「作品」の関係。デコレーション、イフェクトを削り、残るもの。これをしないと生きていてもしようがない、というほどの動機。

問われてくる。頭を使え!身体を使え!眼を使え!耳を使え!足を使え!

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