オンバク・ヒタムこぼれ話(2)

オンバク・ヒタム最終到達地・宗谷岬です。後ろは利尻島。

石垣市民会館(だと思う)の大ホールに行った。民謡大会をやっていた。

台湾の役所の人たちがホールの視察に来ている。市民ホールのあり方をハード、ソフト両面で視察しているのだろう。なるほど、近いのだ。日常的に近いのだ。香港・上海・福岡・東京に飛行機で行かずに、簡単にフェリーで行く。

そこで民謡大会をやっていた。地域の名前は忘れてしまったが、あるコーラス(合いの手)の人たちの手拍子の打ち方が印象的だった。左右の手の平をやや上方から打ち下ろし手を打つのが一般的だと思うが、そこの人たちはかなり下方から打ち上げて音を出す。と、だいたい顔の前で手が合わさるので、お祈りをしているようだった。美しかった。

座りながら、座席が広々と取ってあってゆったり座れていいな、と思っていた。しかしほかの大事な大事な理由があったのだ。舞台上での出し物が終わると、客席がざわざわしだす。ほとんどの観客が、もぞもぞと自分の三線をとりだした!そう、みんなで演奏するのだ。客席で三線を弾くために座席を広く取ってあったのだ。隣り合って演奏しても大丈夫なほど広い訳。会場全体に響く三線と歌声は空へ海へ届いて行くようだった。演奏者・聴衆の差別はない。

この2つのエピソードだけでも、琉球弧のこの島で、歌、音楽が日常的に生きていることがはっきりわかる。みんなが大事にしているのだ。こういうことを文化というのだとしみじみ思った。オンバク・ヒタムの流れにはこのような豊かな音楽がとうとうと流れている、のではないかと夢想する。

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