ドミンゴ。メキシコ晴れ。街がわさわさしている。バスで多くの人がシティにやってきているようだ。黄色を身につけている。「なんだろうね」といいながら、ホテル近くにある「ディエゴ・リベラ壁画館」へ。一枚の巨大な壁画の為の美術館だ。日曜日と言うことですべての公立美術館は入場無料!!写真やビデオを撮る場合は多少のお金を払うシステム。50 人近くの人物を描いた壁画。一人一人の説明がある。中央にはガイコツ。フリーダ。子供の自分。自分の歴代の奥様。などなどの他は歴史的人物。
ともかくでかい。小学生の団体が来ると、ガイコツの扮装をしたガイドが説明をする。二階は、フリーダの同時代女性美術家展。アルトーが気に入っていたという女性モデル、写真家、力強い作品が多く、正面をキッと見据えたような自画像にはこちらがたじろぐほどの自信がみえる。突然外でバーンバーンという音。銃か、空砲か、と思いきや、巨大なデモ行進が始まっていて花火をバンバン打ち上げつつ行進していた。石油企業の民営化反対のデモ。メキシコは石油が出るが精製する技術が無く原油を輸出して再輸入しているという。構造的な搾取の匂いがする。それを民営化したらますます巧妙な搾取が始まるということ。日本の郵政民営化は?
参加者はメキシコ全土から集まっているそうだ。少年少女鼓笛隊を入れたり、歌を歌ったりそれぞれの団体が工夫をしてデモを楽しんでいる。いつ果てるとも知れず長く長く長く長く続くデモ行進。しかし警官の姿がない。ともかく「健康」な感じ。レジス・ドゥブレ風に言えば、「選挙に行かない自由」「他人に干渉しない自由」「他人に干渉させない自由」を謳歌しているニホンは、うまくしつけられているだけだろう。知らないうちに国の失政、大企業・金融企業の失策のツケ、駐留軍へ思いやり予算、天下り官僚の巨額の退職金を払わされている。知らず知らずにイライラをため込み、徒労感と疎外感を育て、現実と想像の差を無くしていく。シティでは、10/2には1968年の弾圧事件で亡くなった学生の追悼デモがあるという。
大統領府前広場に集まったデモ隊、特設ステージでは何台ものクレーンでPAスピーカーをつりさげ歌や踊り(ラ・バンバも聞こえた)。PAシステムの音が意外に良い。このあたりにも文化度・民度が現れるのかもしれない。大統領府には入れないとのことで、隣のカトリック教会へ入る。ここにだけ警官の列をなしていて、一応のチェックがあった。教会に入るや全く違った空間がある。日曜のミサが粛々と行われている。一歩外はデモ集会。教会の外にガラス張りがあり下が見えるようになっている。アステカ帝国を破壊した上に教会が建てられていることを残骸が見せている。その隣ではメキシコインディオシャーマン(風)の男がアメリカ人観光客相手に儀式(風)を行っていて占いのようなことをしているし、その隣ではガイコツの土産屋が露店を出す。
生と死、破壊と建設、日常と非日常、現在と過去と未来が併存している。