シルビオ・ロドリゲスの代表作「蛇を夢見て」はすばらしい歌だ。私はメルセデス・ソーサの歌で知った。イントロにブレヒトの引用の朗読がある。
「一日闘う者がいる。良い人間だ。
一年闘う者がいる。より良い人間だ。
何年も闘う者がいる。とても良い人間だ。
一生闘う者がいる。不可欠な人間だ」
(それに続けてシルビオの歌詞)
おお、おお、おお
一匹殺せばもっと大きいのが出て来る。
おお、おお、おお
もっと大きな地獄を消化しながら。
稚内中学で30年にわたり闘い続けたG先生を思う。
「出る杭は打たれる、でも出過ぎた杭は打たれないんだよ!」
「センコーにだまされるな!」
G語録はつきない。
そのG先生から「第35回北海道情緒障害教育研究会 宗谷・稚内大会」で演奏してくれないか、と依頼を受けたのがそもそも今回の北海道ツアーの発端。なんで、学会で私の演奏を?と思ったが、彼のことは200パーセント信じているのでお引き受け。絶対何か考えているに違いない・・・と思った次第。後で分かったことだが、今年度で定年退職されるG先生が最後に全国から同志を集め講演を企画したとても想いの強い会だった。そんな中に入れてもらい本当に光栄なことだった。
利尻富士がくっきり見える最高の天気、二週間前には1℃だったと聞いてセーター、マフラーを持参したのに、29℃の稚内。気持ちは良いけれど、かなりの異常気象のはずだ。いろいろなところに影響がでるだろう。少し早めに着いたので宗谷岬にドライブ。二年前訪れたときその風のすごさに笑ってしまった。ヒトはあまりに想定外の状況になると笑うのか?それ以来、ひとつのアイディアがあった。ここでベースを立ておくだけで音がでるのではないかということ。それを実験したかったが、まるで湖か瀬戸内海の凪時のように静かだった。残念。またどこぞの土産屋から傍若無人に繰り返し繰り返し流される歌が余計に耳に付く。勘弁してくれ。
G先生と会い、会場下見など秒単位でこなす。きっと何十回もシミュレーションを繰り返したのだろう。予定通りサクサク進む。会食時に、モケラモケラ夫妻の稚内時代武勇伝を聞く。なるほど、なるほど。モケラモケラの方針・存在理由などがより良く理解できた。
翌日、楽屋でしつこくリハーサル、少しレパートリーを変更。なんとかG先生に恥をかかせちゃならない、最良の方法は?などなど試行錯誤する。いろいろな報告、シンポジウムなどが済み、私たちの出番。ほとんどの出席者にとってみれば、何でベースライブ?ということだろう。
今日の聴衆の興味のありそうな方向での話しを交えながら演奏。久しぶりにたくさんのことを話しながらの演奏だった。G先生の、そして私と瀬尾くんの願いよとどけ、という気持ち。一番やりたかった曲が時間の関係で出来なかったが、まあそんなものでしょう。MCのことを考えると、どうも左脳が活発になり音楽を司る右脳がお留守になってしまうのか、という言い訳の演奏もありました。すいません。(瀬尾くんは立派に弾きました。)
懇親会があり、児童精神科の先生がとても興味を持ってくれ話しかけてきてくれた。とても嬉しいことだった。こういう橋がどんどん架かること、それがG先生の願いでもあったはずだ。