西陽子さんの箏コンサートシリーズ LETTERS 2008 Butterfly’s Dreamが6月29日　神楽坂のセッションハウス（電話：03-3266-0461）で午後2時と6時（開場はそれぞれ30分前）にあります。（全席自由　前売り￥3.500　当日￥4.000　問い合わせ：相澤万亀子事務所　電話:03-5766-0866　FAX:03-5766-0867　 mail:mkhouse2@zat.att.ne.jp）

高橋悠治さんへの委嘱初演、「鹿（のうた・・・」（藤井貞和/詩）、三輪眞弘作曲　箜篌のための「蝉の法」、沢井忠夫作曲「楽」、西陽子さんの即興演奏、と一緒に私への委嘱初演「ombak hitam sakuradai」が演奏されます。今日は、その打ち合わせに北鎌倉へ行ってきました。新宿から50分あまりで到着、そこは緑深い古都でした。ちょっと早く着いたのでガラにもなくお寺訪問。お寺というと「演奏」というリンクでなく、お寺/観光というまっとうな行動でした。紫陽花がまぶしく咲き誇っていました。

自分が作曲家であるという意識は私にはありません。演奏のためのチャート作図という感じが近い。そんな曲がこんなビッグネーム作品の中でやられていいの？という思いがありますが、「曲」を作ると何か（気持ちや技法）のまとめだったり、懸案の歌えるものができるのではないかと思ったりもします。

陽子さんとは、Koto Vortexというアンサンブルでの「Stone Out」の作曲あたりからの知り合いです。もうだいぶ昔のことになりました。お箏の呼吸法、美意識などを全く知らない私の曲に一番とまどい、素直に疑問を直球でぶつけてきたのが陽子さんでした。その後久しぶりに、高田和子さんの「帰ってきた糸」公演（京都造形芸大）であったときには、即興演奏に積極的に取り組む奏者になっていました。もともと持っている箏演奏家としての卓越した音楽と相まって、国内外で大活躍をしていました。そんな彼女を誘ったのがジャン・サスポータスさんとのplanBセッションでした。なんでも吸収しようとする姿勢と芯のある音、とてもすばらしかった。

今日もほんの二時間の打ち合わせで、こうやってみたら、とか、こういう可能性もある、こうもできる、と私の書いたものに大きな示唆と可能性を示してくれました。こちらも調子に乗って、これはどう？とか、こんなことまでしていいの？とか楽しいひとときでした。

この曲はもうすぐ一周忌を迎える高田和子さんのことを思って書いたものです。

曲目解説：「オンバクヒタムはマレー語で黒潮のこと。インドネシアあたりからはじまり琉球弧を通り、四国から和歌山を通っていく親潮でなく、九州の西を通り、朝鮮半島に行き、最後に日本海側にたどり着く黒潮とその文化圏に興味があります。そう言う視点で見ればいろいろなものが見えてくるのではないかと。（いままで、琉球弧編やマレー編などがあります。）高田和子さんとのライブの時に思いついたモチーフを使って曲の体裁にしました。（何曲かデュオ用の曲を作る約束をしていました。）三味線の材料が南アジア・東南アジアのものだと聞いたこともインスピレーションになっています。西陽子さんと久々にお会いしたのが高田さんの「帰ってきた糸」でした。それ以後、お会いするたびに話題になるのがどうしても高田さんのことでした。そういう曲で良いということで、こうなりました。そして陽子さんが演奏することが一番ふさわしいかと思います。」

ほかの公演のリハーサルの通り道の駅が「桜台」、高田さんのレッスン場のある駅でした。ここで電車が停まる度に幻視にとらわれました。追悼の部分はほんの一瞬で大部分は明るい曲調です。いっそのこと「桜鯛」でも良いと思います。

OMBAK HITAM SAKURADAI

2008/06/11
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Y.I
斎藤さんの委嘱新曲があるということと、planBでの西さんの演奏が鮮やかに心の中に残っていることとで、これは伺わなくてはと思い、チケット手配しました。新曲、とても楽しみにしています。
2008年6月12日木曜日 – 08:27 AM
tetsu
Y.Iさま、コメントありがとうございました。
今回は、箏のソロコンサートなので、私は共演しません。共演する場合はその場でなんとかしてしまうことができるのですが、それができないので、何か不安がつきまといます。
でも、自分の中を通って出てきた音楽が、人様の手に渡り、それぞれの経験をするというのも興味深いです。「所有」しないこと、この異常消費大国にあって、大事な教訓のような気がします。
2008年6月12日木曜日 – 10:25 PM