ミッシェル・ラジ MEETS 岩下徹 ミッシェル・ラジと岩下徹

トゥールーズのthe Ringで、ミッシェル・ドネダ+ミッシェル・ラジ+岩下徹というセッションがある。パリでの山海塾の新作公演を終えた岩下さんがトゥールーズに出向く。ドネダと岩下さんは「いずるば」で共演した。以前からドネダのCDを聴いていた岩下さんは「いずるば」での寄港セッションで大事な共演者だという感覚を持ったようだ。こういう形で繋がっていくのはトラヴェシア(橋渡し)としてとても嬉しい限り。

irea とは Improvisation Research and Artistic Exchange だから、正にうってつけの企画といえる。ここでの精神的支柱はミッシェル・マチュー(ミッシェルばかりでややこしや)さんという俳優・演出家だ。インプロの演劇を追究している。著名な俳優だったが、ある時からインプロしかやらなくなった。インプロの演劇とは本当にむずかしいだろう。方法を追究するということだろうか。10年ほど前、アヴィニオンの画廊で、ミッシェル・ドネダ、アラン・ジュール、バール・フィリップスと一緒にセッションをした。その後、ロデスでの詩のイヴェント(アントナン・アルトー特集)で一緒に街中で野外劇をやった。(アルトーの収監されていた精神病院跡から劇は始まった。)その後、沢井一恵、今井和雄、ドネダ、ニン・ル・カンとのグループ(影の時)の公演、昨年は私のソロ公演もやってくれた。

ミッシェル・ラジさんはアルジェリア出身のダンサーで、とても興味深い活動をしている。スーフィーの家系。思索家(哲学者?)でもあり、呼吸法のマスターでもある。(呼吸のCDも出している!)根っからの自由人・放浪者で、駅で暮らしていたこともあるそうだ。なかなか連絡は取れないという。ある年、ナンシーでのミュージック・アクションフェスティバルで一緒になった。その年のワークショップは、彼と私が担当した。英語を分かる人がひとりだけというキビシイ状態だったが、私の言うことに対して「それもラジさんが言ったことと一緒だ!」という声を何回も聞いた。

本公演では、ドネダと小鼓の久田舜一郎さんと私とカルテットをやった。かつて否定していたというスーフィー系の回転ダンスもあるがままに「受け入れて」本当に美しく踊った。あれから数年経つ。明日のドネダ/ラジ/イワシタのトゥールーズ・セッションは本当に観てみたい。報告を楽しみに待つ。

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