このごろ

ひとりで細々と活動をしていると、時に身に余る事態に遭遇し、右往左往する。詳細は書けないが、今がまさにそれ。

そんな時、やはり音楽がココロを救ってくれることを再確認する。何で今ブラジルの音楽がこんなに豊かなの?と聞くと、長年ブラジルに住んでいた翁長美酉さんは「あまりに日常がひどいからよ、音楽にすがって生きていくしかないから良い音楽が必要なのでしょうね。」と答えてくれた。なるほど。そろそろ日本にも音楽の神が来てくれるかも?なんて・・・・まだまだだね。

ピアソラの50年代の曲の譜面を作るために随分聴き直した。若々しいインスピレーションが習作レベルからタンゴの名曲に引き上げている。ピアソラがブーランジェ先生の示唆で、クラシック作曲家からタンゴ音楽家になるよう決意した、という有名なエピソードの時期だろうか。これで行くんだ、とぐいぐい来るこぶしのようなものを感じる。

学校でのクラスで使った海童道、アマリア・ロドリゲス、金石出、安淑善、高場さん・峰さんのトリオで取り上げたガルデル、パラグアイの歌、やっと聴けたマルセル・モイーズのフルート、高田和子さん遺作CD、ココロに沁みていった。音楽以外では小熊秀雄さんの童話集がグッと来た。

クラスでは、私の活動を通して感じたこと、考えていることなどを話す。タデウシュ・カントールの「死の教室」、ピナ・バウシュの「カフェ・ミュラー」、私が、金石出・安淑善さんと一緒にやったソウルでのコンサート、アマリア・ロドリゲスの「祈り」などの映像を一緒に観た。流行りすたりに関わらない人間のたゆまぬ活動や願いを若い人たちと共有したかった。結局自分が一番救われたようだ。被害者意識に陥らずに少しずつでも先に行こうと殊勝にうなずく。

学生さんに渡した参考図書リストは↓、毎年あまり変わらない。
白川静「常用字解」平凡社
三木成夫「胎児の世界」中公新書
    「海・呼吸・古代形象ー生命記憶と回想」うぶすな書院
    「ヒトのからだー生物史的考察」うぶすな書院
野口三千三「野口体操・おもさに貞く」柏樹社
     「野口体操・からだに貞く」柏樹社
     「原初生命体としての人間」岩波書店 同時代ライブラリー257
     「野口体操・感覚こそ力」(羽鳥操 春秋社)
レジス・ドゥブレ他「思想としての共和国」みすず書房
     「娘と話す 国家のしくみってなに?」現代企画室
パスカル・キニャール「音楽への憎しみ」青土社
     「巡り会う朝」早川書房
マグダレナ・アバカノヴィッチ「手に触れる永遠」インターナショナル・アート・リサーチ
タデウシュ・カントール「芸術家よくたばれ」作品社
           「死の演劇」パルコ
ジャック・アタリ「ノイズ/音楽・貨幣・雑音」みすず書房
ニコラウス・アーノンクール「古楽とは何かー言語としての音楽」音楽之友社
シモン ラックス他 「死の国の音楽隊 アウシュヴィッツの奇蹟」音楽之友社
高銀 詩選集 「今、君に詩が来たのか」藤原書店
安宇植「アリラン峠の旅人達」平凡社ライブラリー
多田富雄「免疫の意味論」青土社

ペドロ・アルモドバル監督「トーク・トゥ・ハー」
アラン・コルノー監督「巡り会う朝」

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