自民党・社会党が出来、ワルシャワ条約機構が出来、冷戦の体制が出来上がったのが1955年。89年にベルリンの壁が崩れ、各共産党政権の腐敗が露呈。社会党が自民党と一緒に政権につき(1994年)、なし崩し的に消滅、「反体制」という尺度さえ消えていった。また1955年にはテレビ放送が本格化。その55年の9月と10月に生まれたのが今井和雄と齋藤徹。華々しく学生運動を歌いあげた団塊の世代には遅れ、テクノ世代の三無主義(無気力・無責任・無関心)には先んじた狭間の世代。学生運動は内ゲバ殺人の泥沼、就職は大企業を選び放題のバブル夜明け前だった。
しかし二人とも謂わば「生き方」として音楽を選んだ。今井和雄というと必ず枕詞のように「高柳昌行・小杉武久」に師事と言われる。(本人も辟易しているはずだ。)私がその高柳さんとデュオをやっている時に病院で1回会ったことがあるが、そのままなにもなかった。高柳さんも亡くなり、随分たったころ新宿でバッタリ会い、何と言うことなくエアジンでデュオをやったのが初共演。
とてもかっこの良いとは言えないオヤジ二人がplanBでお互いの50歳を機にほとんどマンスリーでデュオを始めた。私のお願いでアコースティックギターのみにしてもらい、1時間一本の即興演奏。もう25回になった。世の中の流行りすたりを横目で見ながら、また二人ともいろいろな病気をしながらも演奏を続けてきた。planBの齋藤朋さんも最大級の協力をしてくれている。自主レーベル TravessiaでOrbit 1(ゲスト・ミッシェル・ドネダ)Orbit 2 (ゲスト・バール・フィリップス、ジャック・デミエール、ウルス・ライムグルーバー、ローレン・ニュートン)と二枚作ってきたが基本のデュオで何か作らねばとずっと思ってきた。そして昨日、デュオでのハイ・ビジョン映像撮影になりました。撮影はplastic rainsの瀧島さん。(このところよく現場が一緒です。)真妃が名誉の助手。DVDを制作するかどうかはこれから検討します。
とかく、首都圏での集客にとって「付加価値」が必要?になっている。「初来日の外国人」とか、「ここだけ」とか、人気のゲスト入りとか、「初の」「最後の」とかいろいろ。そんな中、付加価値には無縁のデュオシリーズ。しかも演奏者にも聴衆にも一瞬の猶予もない空気の中の1時間。大事にしていきます。