「サリーダして4コンパス待ってジャマーダしたあとエスコビージャになります。10の裏で終わります。」何のことか分かります?夜な夜なフラメンコスタジオで繰り広げられる会話です。初めは何のことだかいっさい分かりませんでした。ダンスの足にぴったり寄り添うギター。どうしてわかるの?全部を録音して帰ってから解析。インターネットのフラメンコ用語集が役に立ちます。
初演の時は、異物としてコントラバスが想定してあり、ミュージシャンが全員スペイン人で通訳ナシ、英語ダメ状態だったので、一緒にやることはほとんど無かったのですが、今回はギター主任が日本人。いろいろ聞けるし、川崎克巳さんの追悼公演なのでわたしも少しフラメンコに参加したいと思ったわけです。
それにしても難しい。タンゴ、フォルクローレ、サンバ、ボサノバ、サルサなどラテン系の音楽は「西洋オンガク」の考え方で理解できました。が、フラメンコはムリでした。楽譜はナシ。このところやっとピアノが参加したりしてきていますが、コントラバスはほとんどナシ。他のジャンル特にクラシックから来た奏者が、訳が分からず辞めていく気持ちはよく分かるような気がします。やはりフラメンコはアラブの音楽なのでしょう。こうなると韓国音楽にはまっていった頃の経験を活かすしかない。
少しずつ見えてきたところによると、韓国のリズム(チャンダン。長短と書くのは興味深い)との比較で以前のブログの訂正があります。やはり2と3を足していく方法はほとんど取られていました。シギリージャスという深い感情を表すときのリズムは2+2+3+3+2でした。しかし2+3を単位にした5拍子系のリズムは(今のところ)無いようです。四拍子系にはタンゴスがあり、ルンバに近づいていきます。これには3+3+2の所謂ピアソラビートが採用されることがあります。とても分かりやすく乗りやすいリズムです。パコ・デ・ルシアはタンゴスやルンバを多く使って分かりやすくフラメンコ以外の世界にアピールしてきたのかもしれません。
リズムの循環では、韓国と違うように思えます。韓国では循環する度にビートが大きく重くなっていきます。李光寿(イ・ガンス。初代サムルノリのメンバー)に習ったときは「雪だるまのようにだんだんおおきくなります」と日本語で教えてくれました。その感覚はフラメンコには無いようです。私は12拍子だと自然にどうしても韓国ノリで数えてしまうので、事はより面倒になっていきます。
本日はギターの金田さんにお願いして二人だけのリハーサル。明日、スペインからスターダンサーたちが来日。毎日新宿村でリハです。どうなることやら。