私たちのコンサート その2
久しぶりの快晴で気持ちが良い。昼飯を早々ケータリングで済ます。今夜どうしてもコンサートに来ることが出来ない生徒達が二人CDを欲しいと言ってくる。CDの売り切れを心配してくれている。大丈夫、大丈夫、と思ったが彼は正しかった。即完売してしまったのだ。日本では信じられない事態が続いている。↓この井野さんの口がSoNAISHのSHの正しい発音のしかたです。ホント。私はまだ出来ない。トホホ。
クルト号とレンタ号でドリス・デューク劇場に移動。とてもフレンドリーなスタッフに感謝しながらリハーサル開始。といっても時間もまだまだあるので、ロングトーンを延々と弾いたり、ベースのソフトケースにくるまって仮眠したり、ストレッチをしたり、立ち位置をいろいろ試したり、ゆっくりゆっくり。地下にある劇場のためか、空調をしているのに湿気がある。この地でベースをメンテするのは予想以上に大変だ。ジャコ・パストリアスがフロリダでのコントラバス維持が難しいためにエレキベースに集中したと言う話を思い出す。ここでは、キッパリとカーボンファイバー楽器にしてしまうのも手かも知れない。
一曲ずつゆっくりと進行を確認したり、今日初めての試みをやってみたり、余裕のリハすなわち本気の演奏が続く。こうやっていると予定の曲だけで二時間くらいあっという間に過ぎる。「ゆっくり、丁寧に」というのは本当に大事なことですね。日本ではなかなか出来ないこと。
井野さんの喫煙場を探して楽屋裏から地上に出る途中、事務所のドアに「らくだの涙」の大きなポスター(3月2日のBlogに書いた映画)なんとなく、良い流れの中にいる気がする。
開演時間になったので、勝手にステージへ。ちょっとなまった「まってました!」の声。クルトだ。彼は日本演劇史が専門なのでそう言う言葉をよく知っている。簡単な挨拶、ガット弦であることなどを説明して、演奏に突入。
休憩を入れずに曲目解説をするだけで、一気に1時間20分。(ストーンアウト1楽章・コントラバヘアンド・オンバクヒタム琉球弧編・街・シクロ・黒石・王女メディア~Invitation)あっという間の出来事。演奏中だんだんと濃密な空間になっていく。私たちが作っているというより、私たちも何かに従っているような感覚。好きな感覚だ。王女メディアのイントロでは、ベースを横たえてのテールピース、テールガット弾きや、詩の朗読も挿入した。
暖かいアンコールをいただいく。立って拍手してくれるお客様もあちこちに見える。よし、アンコール。「月の壺」を取っておいた。最後まで弾かない演奏。遠くへ音が帰って行く。ありがとう、ありがとう。充分楽しむことができました。
いろいろな人が話しに来る。CDにサインをしながらいろいろな話に花が咲く。なかでも日系の人たち特に沖縄から移住してきた人たちが、オンバクヒタム琉球弧編の六調のリズムがよかった、と言ってくれたことは印象的だった。スーッといろいろな時間・歴史が通り抜ける。スイスのダジャレオヤジも「なんて正直な音なんだ」と絶賛してくれる。
今日のコンサートを聴くためにマウイに帰るのを延期してくれたロバート夫妻、クレイトン、フミ子と一緒に大評判のrestaurantで打ち上げ。評判が良すぎて、座るまで30分くらい待った。オランダ出身のロバートさんの奥さんと、オランダでオーケストラを数年やっていたというクレイトンさんの話とか、激務に途中でうつらうつらしてしまうフミ子、いつになくゴキゲンなロバート、運転のため飲めない井野さん誠に誠にすんません。ビールいただきま~す。料理もピカイチ。音楽をやっていて良かったという時間です。一時過ぎ、カイルアに帰り、二人で祝杯。お疲れさまでした。